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【ボブ・ディラン編】フジロックまであとわずか! 出演アーティストたちの見どころをもう一度おさらい



これだったかぁ〜噂の大物追加は。3月16日深夜にボブ・ディランのフジロック参加が正式発表され、にわかにマスコミのトーンも一段上がり、海外でもビルボード誌が、ディランとケンドリック・ラマーが同じフェスに参加するのを01年にニール・ヤングとエミネムが揃ったことを引き合いに出して報じたりもしている。年々、アジアも含む海外からの観客が増え続けるフジだが、今年は別格な盛り上がりとなるのは間違いない。


ディランは88年から〈ネヴァー・エンディング・ツアー〉と称して絶え間なくツアーを行い、そのおかげで日本にもコンスタントにやってきているのだが、まさかフェスで出会える日が来るとは。


ディランとフェスといえば69年のワイト島がまず思い浮かぶ。66年にバイク事故を起こし治療のため人前に出る活動をやめていたのが、本格的なライブ・ショーとしては約4年ぶりに英ワイト島フェスに出演し、ザ・バンドをバックに素晴らしいパフォーマンスを観せたのだった。同時にそれはディランの新しい夜明けを宣言したわけだが、さてフジロックだ。


今回のフジは78年の初来日から数えて40周年、101回目の公演となるが、来日を改めて調べてみると大騒ぎとなった78年に始まり、86、94、97、01、10、14、16年の計8回実現している。僕が一番印象深いのはもちろん初来日だが、トム・ペティと一緒の86年や、若い観客たちがステージに上がり込んで気楽にディランに触れていた97年なんてのも忘れられないし、しみじみと歌の奥行きを聴かせてくれた前回16年はその歌唱に改めて聴き惚れたものだ。


その16年公演は、『テンペスト』('12)、『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』('15)、日本先行EPだった『メランコリー・ムード』からのスタンダード・ナンバー中心のセットリストであったが、これを書いている時点で一番新しい昨年11月25日、ニューヨークのライブでは“悲しきベイブ”“追憶のハイウェイ61”“廃墟の街”といった60年代の人気ナンバーが加わり、より時空を超えた味わいに満ちたものになっている。


ベースのトニー・ガーニエを始めドニー・ヘロンらによるバンドも10年以上の関係が続くだけに完璧なサポートで、グリーン・ステージのあの空間に新しい伝説が生まれる条件は揃った。 



●この3曲が聴きたい!
16年のライブは“シングス・ハヴ・チェンジド”でスタートしていた。映画『ワンダー・ボーイズ』の主題歌で、ディラン楽曲としての知名度はそれほど高くはないが、今のディランのムードをこれほど表しているものもなく、その場の設定がたちまち作り上げられる。さて今回はどうなるか。スタンダードが数多く歌われる中で前回とくに印象的だったのがシナトラ・ナンバー“メランコリー・ムード”でドニーのペダル・スティールの哀感溢れる響きをバックに情感たっぷりの歌がたまらない。そして昨年のツアー殆どを締めくくったのが“やせっぽちのバラッド”で60年代の名曲が、その輝きをまったく失っていないことを目撃できるはずだ。