ウルトラちゃんぽん研究室

洋楽、洋画を中心に様々な情報を紹介

マドンナの故アレサ・フランクリンへの追悼メッセージ、「99%自分語り」と大バッシング



 アメリカ現地時間8月20日にニューヨークで開催された、音楽の式典『MTVビデオミュージックアワード(MTV VMA)』。幅広いジャンルのアーティストたちに多大なる影響を与えたソウルの女帝、アレサ・フランクリン(享年76)が16日にすい臓がんで死去したことを受け、ポップスの女帝として名高いマドンナ(60)がアレサへの追悼スピーチを行った。
 魔女のような黒のオーバーサイズドレスに、大量のアクセサリーをジャラジャラとつけた姿でステージに上がったマドンナは、「アレサ・ルイーズ・フランクリンは、私の人生を変えた人です。私は18歳のときにデトロイトから出てきました。ポケットには35ドル。夢はプロのダンサーになること。貧乏で、なかなか芽の出ない日が何年も続き、私はミュージカルのオーディションを受けることにしました。報酬が良いと聞いたからです。歌のトレーニングなんて受けたことはなく、歌手になりたいだなんて夢見たこともなかったけど。でも、やってみようと思ったんです。何度も落ちました。『背が足りない』『目立ってしまう』からって」と、アレサそっちのけで苦しかった自身の下積み時代を回想。
 フランスのディスコ・センセーションが、ワールドツアーのバックアップシンガーとダンサーを応募しているのを知ったマドンナは、半ばやけくそになりながら受けたそう。ダンスのほうは手ごたえがあったが、歌のオーディションがあることはすっかり頭から抜けていたのだとか。「頭をフル回転させたら、ふと、私の大のお気に入りのアルバム、アレサ・フランクリンの『Lady Soul』に収録されている『ナチュラル・ウーマン』の一節が口から出てきたんです」と、アカペラで歌い始めたそう。「フランス人たちは、この曲を選んだ私の歌声をまともに聞こうとはしなかった。そりゃそうよね。やせっぽっちでお尻の小さな白人女子が、この世の中で最高のソウル歌手の歌をアカペラでキメるなんて、誰もが無理だって思うでしょうね」
 案の定、オーディションには受からなかったものの、この曲を歌い上げたことで、名音楽プロデューサー、ジョルジオ・モロダーと仕事をするためパリに呼ばれたことを、さりげなく自慢。「これが私の歌手人生の始まりでした。パリには行ったけれど、でも違うと感じて数カ月で帰国したの。いい人たちばかりだったけど、ミュージシャンとして自分の曲を書きたかったから。操り人形にはなりたくなかった。帰国してギターを習得したかったから、そうした。後は、みなさんご存じの通り」とドヤったのだった。
 アレサの追悼スピーチとは思えない、マドンナの自分語りに、会場のアーティストや観客はしらけ気味。ドヤるマドンナに無表情で拍手を送ったが、彼女はそんな空気も読めないようで、「みなさん、なんでこんな話を? って不思議に思われるかもしれませんが、ちゃんとした理由があります。レディソウル(アレサの愛称)がいなければ、今、私が話したことは起こらなかった、起こり得なかったんです」「彼女が今の私を作ったと言っても過言ではない。彼女は、今夜ここにいる大勢の人たちにも影響を与えたはずです。だから、アレサ、あなたにありがとうと言いたい。みんなを力づけてくれたことに」となんとかアレサにこじつけ、「R・E・S・P・E・C・T、女王陛下万歳」と長々としたスピーチを締めくくった。


 通常、追悼スピーチとは、故人に縁がある人が行うもの。内容も故人との思い出や秘話、故人の活躍や栄光を紹介するものが多い。マドンナは2009年の『VMA』でもマイケル・ジャクソンの追悼スピーチを行っているが、繊細なマイケルの性格や彼と2人きりで極秘デートした話を披露し、知られざるマイケルの姿をファンに伝えたと評価されたのだった。
 しかし、今回のアレサへの追悼スピーチは6分間も費やしたのに99%が自分語りになっており、Twitterはマドンナへの批判ツイートであふれ返った。「アレサをフィーチャリングしたマドンナへのトリビュートじゃん!」「マドンナ物語なんて聞きたくないのに」「マドンナが死んだの? アレサじゃないの?」「最上級のクソだね」と怒りの声が殺到した。
 先日、「最近どの音楽も同じに聞こえる」と現代の音楽シーンに苦言を呈した際にも、「老化現象だろう」とバッシングされたマドンナ。自分語りしてしまうのも、還暦を迎えて、武勇伝や昔話好きになったのだろうと優しく見守るファンもいるが、今回の追悼スピーチに関しては「いただけない」と感じた人が多かったようだ。
 大ひんしゅくを買ったマドンナだが、インスタグラムでは、「MTVからは最優秀ビデオ賞のプレゼンターを頼まれたの。ついでに私のキャリアにアレサがどう関連しているのか、逸話を紹介してほしいと頼まれたわけ。別にトリビュートスピーチをしたわけじゃないのよ」と反論。しかし、『VMA』でマドンナが話している間、ステージの巨大モニターにはアレサの写真が次々と流れるなど、どう見てもアレサを追悼したものであったため、「年寄りは自分の非を認めないよね」と、炎上に油を注ぐ形に。まだまだバッシングは続いており、今後、マドンナがどのようなアクションを取るのかに注目が集まっている。